まなざしカレンダー

本と私 2011年春号~森のスタッフ編~④

もう、九月も下旬
すっかり季節も秋ですね。


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名マネージャーりかさん

『きみはきみらしく』

  いのちのことば社フォレストブックス
マックス・ルケード/作 セルジオ・マルティネス/絵 
松波史子/訳


子どもたちが小学生のころ、よく学校へ読み聞かせに行きました。当時様々な問題を抱えていたクラスの子どもたち・・・。おとなとして何をしたらいいのか、いつも考えていました。そんなときに出会った本です。

小人のウイミックたちは、最近なんだか落ち着かない。それは「みどりの鼻」ブームのせいだった。人のすること、言うことが気になってしまうパンチネロは、流行を追うことに夢中になってしまう。「わたしはよくよく考えて、おまえたちを違うすがたにつくったのだよ」という、ウィミックたちをつくった彫刻家のエリの言葉を忘れ、流行りのみどりの鼻で得意になってしまうパンチネロたち。流行はそこでは終わりにならず、鼻の色は赤、青、ピンク、黄色と変わっていく。パンチネロたちは、次々と色を重ねてぬったものだから、もとの鼻の色がわらなくなってしまった。流行を追いかけることにむなしさを感じたパンチネロたちは、ウィミックたちをつくった彫刻家のエリのところに行き、鼻をもとどおりにしてもらう。ごしごしこすられるのは痛かったけどね…

というお話。

子どもたちにこの本を選んだのは、周囲からいい子でいることを期待されたり、他人の評価が気になって自分の考えを言えない子たちに、誰が何と言おうと「きみはありのままでいいんだよ」と伝えたかったからなのです。

みんなと一緒でいることの安心感。多くの人と違う行動をする不安感。一緒でなければいけないという強迫観念。現代社会では身近にある話です。その中で自分を保ち、自分自身を見失わない生き方をするのは難しい。だからこそ、「きみはきみらしく」というメッセージが強く心に残ります。

この本は、「たいせつなきみ」シリーズの第3作目です。シリーズの根底に流れているのは、自分らしい生き方って何だろうという問いかけだと感じています。子ども向けの絵本ですが、子どもより、おとなのほうが考えさせられます。ぜひ前2作「たいせつなきみ」と「ほんとうにたいせつなもの」も読んで欲しいと思います。


 『愛する人にノーをいう』 


 あむすく
ペーター・シュレンバウム/著 林道好・島田洋子訳


 日本には「夫唱婦随」とか「一心同体」という言葉がありますが、それに真っ向から抵抗しているような本です。作者は、ユング派の心理分析家で、本書は日本を含めて10ヶ国語に翻訳されています。

 「愛」という言葉を使うのはちょっと気恥ずかしいけれど、でも愛すればこそ結婚したわけです。いい奥さん、いいお母さんでいたいというのは自然の感情でした。自分が勝手に考えていた「理想の家庭」をつくりたいと思っていました。しかし、淡々と日常生活を営む中で、夫はどうしてこんな人なのか、なんで好きになったのか、自分はこの人とどういう人生を歩むのか、これが自分にふさわしい道なのか、自分はこのままでいいのか…など、絶えず想いを巡らせていました。そして、まるで自分が籠の中の鳥になったような、そんな息苦しさを感じていました。そんなときにこの本に出会い、自分が自分自身と真剣に向き合ってこなかったことを知らされました。

 誰かを愛するとき、人は相手に自分をうけいれて、同じように愛してほしいと思うがゆえに、時にNOということがうまく言えない時があります。しかし、愛する人にNOと言い、愛する人との間に境界線を引くことは、決して相手と自分とを引き離す作業ではないのです。NOという相手は夫だけとは限りません。子どもや親に対しても当てはまります。

 夫婦であっても他人。他人である以上、どこかに境界線を引かなくてはならないのです。境界線を引くことは時には孤独で辛いものです。

この本にはこう書いてあります。「相手は自分とは違うという意識が愛の前提である」と。

NOを言うことをきっかけにして、パートナーとの関係を見直すこと、そしてパートナーと向き合うことが、人間としてより成長していくためにどんなに大切かをこの本は教えてくれます。

 
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みなさん、いかがでしたか。
本の紹介文ひとつをとっても、スタッフひとりひとりの人柄が出ているように思います。
この「本と私」を通じて、子育てをしていると、ふと孤独を感じてしまうことがあるけれど、
自分はひとりではないこと、子育て中の私たちを大切に考えてくれている人がいることを感じました。

みなさんに、ここに紹介している本を手にとってもらえたら嬉しいです。


まだまだ森には魅力的なスタッフがいっぱい!


永遠の少年・・・
 たもっちゃん

頼れる助っ人!
 あさののおっちゃん

直接聞いてみて下さいね!

                                    本と私 編集部
                                            



そして、近日「本と私」夏号 ~日野図書館編~もお届け予定です。

お楽しみに!

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